台湾の巨大電子掲示板システム(BBS)サイト「PTT(批踢踢)」に、一人の女性がこんな書き込みをした。末期がんのため何日も食事が喉を通らず、死期が近づいている弟が急に、ある外資系量販店で売っている某メーカーのリンゴジュースが飲みたいと言い出した。女性は弟のために台中市内(台湾中部)の売り場を探し回ったが、探し出すことができなかった。そこでネットの掲示板を通して「親切などなたか、一本売ってもらえないでしょうか」と呼びかけたのだ。この書き込みを見たネットユーザーたちが、嘉義(台湾中南部)、新北(台湾北部)、新竹(台湾北部)などから次々と、男性が入院している病院までリンゴジュースを送り届けてくれた。
男性が入院している私立中国医薬大学附設医院(=病院)は、男性の病状が思わしくなく、また家族がメディアの取材を拒否していることから、家族の代理として、こうした事実があったことを認めた上で、ネットユーザーたちの善意と社会が関心を寄せてくれていることについて感謝した。
女性が掲示板にこの書き込みをしたあと、ネットユーザーたちはすぐに、リンゴジュースを手に入れる方法について話し合った。掲示板の書き込みを整理してみるとこうだ。嘉義在住のネットユーザー「birddirb」さんが、まず嘉義の外資系量販店でリンゴジュースを購入し、それを台中在住の「HAM」さんが受け取りにいった。「HAM」さんは午後2時05分にジュースを受け取り、午後3時30分には書き込みをした女性にジュースを手渡した。新北市新荘に住む「Tmkleo」さんもネットでリンゴジュースを購入し、これを「sukidesu」さんが受け取りに行った。「sukidesu」さんは午後2時05分、台中へ向けて出発。午後4時07分に病院に到着した。新竹県竹北区に住む「Induction」さんは、自宅にそのリンゴジュースがあるという「mimichen」さんの家まで足を運んだ。午後2時20分にジュースを受け取り、午後3時40分には無事病院まで送り届けたという。
こうして女性の手元には、女性が掲示板に書き込みをしてわずか4時間以内に、台湾の3か所から4本のリンゴジュースが届けられた。感動した女性は引き続き掲示板に「ネットユーザーの皆さまのご協力に感謝します。まずはジュースを弟に飲ませます。皆さんのご厚意に対しては、後日改めてお礼申し上げることをお許しください」と書き込んだ。掲示板にはその後も、「弟さん、頑張って。目が覚めたらリンゴジュースがたくさん待ってるよ」、「みんな、愛に満ちてるなあ」、「弟さんに奇蹟が訪れますように」などの書き込みが相次いだ。